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最高裁判所大法廷 昭和23年(れ)396号 判決 1948年11月05日

主文

本件上告を棄却する。

理由

辯護人楠見嘉寿彦上告趣意第二點について。

所論被害辨償に關する受領書は、證據書類として裁判所に提出せらるる場合と、證據方法としてでなく参考として裁判所に提出せらるる場合とがある。右前段の場合は證據書類の領置押収として所論の如く刑事訴訟法第六十條第九號第十號等に則り、その旨公判調書に記載せらるべきものであること勿論であるが、右後段の場合には公判調書に何等の記載をも必要としないものと云わねばならぬ。ところで、本件所論受領證については、公判調書に何等の記載のないところから見て、前示後段に該當した場合と解さなければならない。

而してかかる場合と雖も苟くも一件記録に編綴されてあり、殊に論旨主張の如くんば、該受領證は原審第一回公判廷において辯護人から提出せられたものである以上は、原審裁判所はその判決に當り之にも考慮が拂われたものであろうことが窺われる。左れば之が公判調書の不記載を理由とする所論は、前示後段の場合に對する理由なき攻撃であるから、論旨は理由がない。(その他の判決理由は省略する。)

以上の理由により、刑事訴訟法第四百四十六條に從い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。

(裁判長裁判官 塚崎直義 裁判官 長谷川太一郎 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 霜山精一 裁判官 井上登 裁判官 真野毅 裁判官 小谷勝重 裁判官 島 保 裁判官 齋藤悠輔 裁判官 藤田八郎 裁判官 岩松三郎 裁判官 河村又介)

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